読み聞かせした本
1. りんごかもしれない
目の前にあるのはりんごだけど……違うかもしれない。と、男の子が疑って、想像を膨らませる楽しい絵本。細かい書き込みがあるので、全体での読み聞かせにはあんまり向かないかなと思っていたけれど、説教臭さが一切なく、また絵も古臭くなくてかわいいからか子供受けは良かった。考えたり、想像したりすることの楽しさを教えてくれるとても良い絵本。
作:ヨシタケシンスケ
2. みえるとかみえないとか
上の「りんごかもしれない」と同じ作者の絵本。
宇宙飛行士の主人公は色んな星を「ちょうさ」する仕事をしていて「うしろにも目がある人」の星で「え、キミ、うしろが見えないの?」「えー、ふべんじゃない?かわいそう!」と言われるところからはじまる。
巻末にはこう書いてある。
この本は、『目の見えない人は世界をどう見ているのか』(光文社)をきっかけに、ヨシタケシンスケがストーリーを考え、伊藤亜紗に相談しながらつくった絵本です。
作中では「そらをとべる人」「からだのやわらかい人」「足がながい人」なども出てくるが、メインは「うしろにも目がある人」の星にいる「うまれつきぜんぶの目が見えない人」の話で、目が見える人と見えない人の、世界の感じ方の違いを丁寧に、子供にも分かりやすく描いている。そして、主人公が「目の見えない人」について考えたことをきっかけに、みんなちょっとずつ違うこと、その人だけの見え方や感じ方を持っていることに気づく。
からだのとくちょうや みためは のりもののようなものなのだ。
「その のりものが とくいなこと」は かならず あるけれど、
のりものの しゅるいを じぶんで えらぶことは できない。
と、主人公(作者)は生まれつきのハンディキャップのことを「のりもの」に例えている。これが子供にも分かりやすくて良い。
『りんごかもしれない』よりは教育的だけど、語り口や絵が面白く、子供に興味を持ってもらえるように工夫されている。
作:ヨシタケシンスケ
3. 友を失った夜
4. とりひき
星新一のショートショートが絵本で楽しめるってすごくないですか?こんな絵本があったことにびっくり。残念ながら数は少ないみたいだけど、この2編で星新一の魅力を子供にも伝えることができる。
文章だけでは分借りにくいSF要素も、絵があれば小学生でも理解できる。
ただし、『友を失った夜』のオチは子供に突きつけるには厳しすぎるかもしれない。3年生以上向けかな。
文:星新一 絵:田中六大
5. どんなかんじかなあ
『みえるとかみえないとか』より先にこっちを読んだ。
主人公の男の子が、目が見えなかったり、耳が聞こえなかったりする友達について、どんなかんじかなあと考えてみる本。
ハンディキャップだけではなく『他の人の立場になって考えてみる』ことの大切さと『相手を思いやる気持ち』について考えてもらえる。また、高学年には『ハンディキャップを持つ人=不幸、かわいそう』ということについて考え直すきっかけになる。
学年が上がるにつれ別の視点からこの絵本を読むことができる。『みえるとかみえないとか』よりこっちのほうが一歩先を行ってる感じ。その理由はラストを読めば分かる。おすすめ。
6. わたしのもみじ
絵本を返しに行ったとき、偶然に出会った写真の絵本。紅葉の季節が近いので読んだ。10年間撮り続けてきたという一本の立派なもみじの木の四季の写真が使われている。
正直、文章なんていらないぐらい写真が語っている……と思ったけど、邪魔をしないように、でも正直に、作者のこのもみじの木への思いを書き綴った文章が写真と合わさってはじめてこの味わいなんだろう。
思ったより子供受けがよく、静かに聞いてくれていた。
作:岩間四郎