2020年10月 よく聴いた曲

 

 

1. 菊池桃子 - Blind Curve

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 菊池桃子の曲に一時期ハマってて、特にAdventureってアルバムは凄かった。イントロから表題曲Adventureの流れが完璧。イントロとアウトロのあるアルバムは良い。世界観を作ろうという意思が見える。

 この曲はSpotifyで唯一聴ける菊池桃子の曲で、まずド頭のシンセタム回しでやられる。A→B→C→Dの構成が面白い。それでボーカルが微妙に浮いてるのも良いし、コーラスの入れ方も熱い。

なんていうかメロディで使われてる音域は広くないのに、スリリングなラインだな〜と感じる。押し引きがうまいんだろうな。

2. 相対性理論 - 天地創造SOS

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 『天声ジングル』収録版よりライブCDの『調べる相対性理論』のほうが良い。

 真部脩一がいた時の相対性理論が好きだったから、メンバーが変わってからの曲をほとんど聴いてなかった。Spotifyでたまたま聴いてみたら、歌い出しの歌詞から掴まれて、こんな良い曲作ってたのになんで今まで食わず嫌いしてたんだろうと思った。

天地創造投げ出して あれから世界は……」ではじまる歌詞は、セカイ系の雰囲気があるものの、相対性理論のゆるさを作り出している、当事者性の欠落感もちゃんとあって、そうそうこれこれ!という感じ。

 右で鳴っているギターがLINEの呼び出し音に聴こえる。これは意図してやってると思う。

 「メッセージはSOS」と何度も繰り返される。直接助けてとは言えないどうしようもなさが込められたやくしまるえつこのボーカルがとても良い。

ラストの電話しているようなセリフ。当たり障りのない会話をして「またね」で切れる電話がもう取り返しのつかない一生の「別れ」に感じて本当に切なくなる。

3. Aphex Twin - On (μ-ziq Remix)

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 中学1年生ぐらいの時に、オンラインゲームで知り合った高校生とMSNメッセンジャーでよく交流をしていた。色んな音楽やアニメを教えてもらった。その時もらったファイルの1つにこの曲があって、かなり衝撃を受けた覚えがある。一緒にInfected mushroomやSound Horizonももらってた気がする。ベーシストの背の高いお兄ちゃん元気してるかな。

 小学生のときから音ゲーをプレイしていたし、曲を作って投稿するサイトにも顔を出していたので、エレクトロニカというジャンル自体は知っていたものの、ここまで本格的なものは聴いたことがなく、しばらくエレクトロニカ=この曲のイメージが自分の中に染み付いていた。でも、これより良いエレクトロニカってそうあるもんじゃないので後に苦労する。

 特徴的なベルっぽい音色のフレーズが、曲を通して変わらずほぼずっと鳴っている。ビートの抜き差しやコードの変化だけでちゃんとストーリーを作って曲として成り立たせている……原曲よりこっちのほうが断然好き。

 入ってくるカウンターメロディが全部綺麗。特に好きなのが2:02から入ってくるメロディ。ここでは主旋律は消えてるけど、後半では一緒に聴ける。そういう展開の作り方も見事で、非の打ち所がないエレクトロニカ。このジャンルを聴いたこと無い人に薦める1曲めとして、ベストな選択をあのときの高校生は取ってくれたんだな、と書いていて思った。

4. Coaltar Of The Deepers - Natsu No Gyouninzaka (Final Summer Mix)

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 シューゲイザーです。好きなのに、自分好みの曲がなかなか見つからなくて苦労するジャンル。初めて聴いたシューゲイザーが何かはもう忘れたけど……自分の中でシューゲイザーといえばこの曲で、これより良いものってなかなか……というエレクトロニカと同じ現象が起きている。

 歌が引っ込んでれば引っ込んでるほど良いというか……歌い上げ系・上手さに自信ある系のボーカルは好みじゃなくて。それと楽器の演奏テクニックを無駄に披露したがる曲も苦手。その点この曲は安心して最初から最後までシューゲイザー特有とも言える轟音に身を委ねられるから好き。

5. P.O.S - Gravity (Extended Mix)

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 先月の記事でも紹介した、Anjunabeatsの20周年記念ミックス。パッと見だけど、Mat Zo, ArtyのReboundと同じぐらい色んな人のミックスに使われている。自分はこれのAndrew Bayer & James Grant Remixを先に聴いていて、そのときは原曲なんて目もくれなかった。なぜならこっちも本当に良い曲で、2012年のBest Progressive Houseを上げたいぐらい自分のミックスでも使ったし聴いていたから。

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 まず、2005年の曲だってことにびっくりした。それから、P.O.S.はAbove & Beyondのメンバーの一人のソロプロジェクト名だそう。原曲のほうは今聴くとクラシックなトランスだなーと思う反面、リミックスでも変わらず使われているコードを鳴らしているエレピの音色は今聴いても特徴的だし「おっ?」と感じる。そしてブレイクでコードも展開し、女性の声がパッド的に響けば、一気に世界が広がっていくような高揚感……トランスの良さを存分に感じられる。

 トランスの美味しいところはしっかり抑えつつ、この曲でしか聴けない「コードを鳴らすエレピのサウンド」が、15年経った今でも人を惹きつけ、時代に埋もれない理由だと思う。