2020年9月 よく聴いた曲

 

1. OceanLab - Miracle (Michael Cassette Remix)

 トランスの有名レーベルAnjunabeatsが、20周年の企画をやっていて、

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関わりの深いアーティストが、Anjunabeats/deepの曲を使ったDJMIXを作って発表している。9月の頭にこれを見つけて、勉強中も通勤中も運動中も聴いていた。

 Progressive Trance / Houseに夢中だった頃のAnjunadeepはだいたい聴いていたけど、Anjunabeatsのほうはあんまり追っていなかったこともあり、知らなかった良曲を多数発見することができて嬉しいし楽しい。

 その中から1曲。

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 分厚さと清涼感を両立した素晴らしいPluckに、シンプルさとMichael Casetteのコンセプトである80s風のドラムが合わさり、とても気持ちの良い、自分の大好きなProgressive Houseサウンドになっている。また、ブレイクでのBPMが上がっていくようなPluckの加速が面白い(どうやってやっているんだろうか、LFO?)残念ながらInstrumental Versionは見当たらなかった。

 

2. Handsome People - Woowei Woowei

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韓国の人気バラード・シンガー、Teiがバンドを結成!? Handsome Peopleのファースト・アルバムリリース。Handsome Peopleは、ヴォーカルのTeiとキーボード兼プロデューサーのチェ・ヨンホ、ギタリストのオム・ジュヒョクの3人によるバンド。スタイリッシュなサウンドとTeiのヴォーカルに、疲れた日常を忘れさせてくれる1枚。

  2012年の曲だけど、これがもし2017-2018あたりにリリースされていたら爆売れしてたんじゃないか。そう思うぐらいクオリティの高いファンキーなポップ。6年ぐらい前にAFRくんに教えてもらって、久々に聴いたらやっぱり良くて9月はたくさん聴いた。

タイトなドラムに主張しすぎないカッティングギター。欲しいところでばっちり鳴ってくれるシンセサイザーサウンド

何よりこのボーカルの人、人気シンガーだけあってめちゃめちゃ歌が上手い。上から下まで自由自在ですごく楽しそうに歌ってるし、収録した様子が聴き手にも伝わってくる。それも良い。もっと流行って良かった。きっと時代が早すぎた(Especiaもそう)

 

3. EPO - VITAMIN E・P・O

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 母が聴いていた曲、歌っていた曲のセンスがそのまま自分に受け継がれているところはかなりあって、このVITAMIN E・P・Oはまさにその母が歌っていた曲。

 ごきげんなサウンドとパワフルなボーカル。で、EPO本人が作詞作曲してるだけあって、言葉とメロディが気持ちいいぐらいハマる。とくに好きな歌詞が

 

人の都合も待たずに空が

急に崩れてしまっても

駆け込む屋根の下には

同じ未来が約束されているから

 

EPO - VITAMIN E・P・O

  良いなー。シンプルに元気づけられる。

また、アルバムで聴くとこの曲のアウトロが次の「土曜の夜はパラダイス」に繋がっていることが分かる。こういう仕掛けのあるアルバム良い。

 

4. Kaede, Lamp - セピア色の九月

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 この記事の中で唯一の今月リリースされた新曲。

 正直この曲や、このアルバムについて冷静に評価をしたり文章を書くことは難しい。

 自分の一番好きなアーティスト、Lampが全面的にプロデュースし、完成させたわけだけど……Negiccoにも、Kaedeにもあまりいい感情を持っていないから。

 アルバムの曲は、ジュピター以外どれも素晴らしいし、出来が良いと思う。Webインタビューで染谷が言っていた「ボーカルの位置を中央以外に配置する」というのも、曲の世界観を作り上げるための効果的な手法だと、アルバムを通しで聴けば納得するし、違和感もほとんどない。

 また、2018年リリースの「彼女の時計」を経てたどり着いた今のLampサウンドが聴けるというだけでも、ファンの自分にとってはものすごく価値がある。Lampの新譜は、ただでさえ5年に1枚ぐらいのペース。次は2023年か……と思っていたところで、まさかのリリース情報だった。

ただし、Lampとしての新作ではなく、よりにもよってNegiccoの、Kaedeのアルバムのプロデュースなんて……複雑すぎる気持ちだった。Lampとしてリリースしてくれればいいのにと心の底から思った。

 そんな感情を抱きながらSpotifyでアルバムを通しで聴いた。どれも良い曲だ。ちゃんと「彼女の時計」の流れもありながら、新しいサウンドが流れている!でも……でも、ボーカルがどうしようもない。

自分はLampの新作として聴いているので、どうしてもLampのボーカル、榊原香保里さんと比較してしまう。そうすると、Kaedeが勝っているところなんて一つもなくて。技術面でもきっとそうなんだけど、それ以上に、曲を作り上げている一員としての自覚が圧倒的に足りないと感じる。

 このアルバムは普段Lampで演奏しているバンドメンバーもかなり参加していて、サウンドに関しては染谷が描いているものが高いレベルで表現されているなと感じるし、Lampのアルバムを聴いているような感じで聴ける。このキーボードは鈴木潤さんっぽい!とか。尾方さんっぽい入れ方のパーカッションだ、とか。でもボーカルが一人だけどうしても浮いて聴こえてしまう。それはボーカルの位置が真ん中以外に配置されているから……では決してない。香保里さんにあって、kaedeにないもの……それが、前に書いた曲を作り上げている一員としての自覚、だと結論付けた。

 曲や歌詞には、作った人の世界観があって、もちろん作詞と作曲が別であれば二人に見えている世界、表現したいものが全く同じということはないし、バンドメンバーが違えばズレてくるものなんだろうけど。このボーカルには、世界観を作ろうっていう気持ちが微塵もないように聴こえる。ただ、降りてきたメロディと歌詞通りに歌ってみてるだけ。それが仕事だから。もともと歌手ではなくアイドル畑の人間だししょうがないのかもしれないけど……こういう意識の低いボーカルは、Lampのように自分を削って音楽を作っているタイプの人たちの作品には関わっちゃいけないと思った。

 と、ボーカル批判が続いてしまったけれども、これはNegiccoやKaedeに対する個人的な感情がたっぷり入っているので、冷静さを欠いているものだということは改めて書いておく。

 曲の話に戻って……。「セピア色の九月」は、永井作曲、染谷編曲のLampでも珍しいパターンの曲。一度聴いたら忘れないぐらい印象的なメロディーの歌い出しに、香保里さんの詩のような素晴らしい歌詞が乗って、一気に情景が浮かび曲の世界に飛ばされる。夏の終わり、秋の始まりにぴったりの曲。

 

5. Lamp - 誰も知らない

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 Lampの曲で口直し。やっぱこれだよな。

永井作曲だと思ったら染谷作曲で驚いた曲。最初はあんまりピンと来なかったけど、聴いてるうちに癖になった。シンプルにメロディが良くて、永井と香保里さんのボーカルの掛け合いが良い。Bメロからサビに流れこんでいくところが、秋の涼しい晴れの日を連想させる。夏の終わり、秋の始まりにぴったりな良曲。最後のギターが歌詞にある通りで、まさに少しさみしい。